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2007/12/15 (Sat)

雪だるま(ティガー&ピグレット)

 

あの事件から20年ですか…
まだ子供だった私の印象に深く焼きついているのは、飛行機から両脇をがっしりとした男性に抱えられ、周りも大勢に固められながら、引きずり下ろされるようにタラップを降りてくる金賢姫の姿。
口を白いテープで塞がれた姿はショッキングで…
大人になって思えば、舌を噛み切って自殺しようとするのを防ぐ為だったのだろうってわかるけど、当時の私は怪我をしているのだと思って…。
事故にあった飛行機に乗っていて、一人だけ生き残ったのだと思ってた。
白いのは包帯か絆創膏で、その時に怪我したのかと…
何故、乗客115人全員死亡といわれているのに、この犯人は生きているのだろう…?
この人は自分までこのような目に遭いながら、何故そんなことをしたのだろう…?
まだ人を殺すとか危害を与えるっていうことに対して、何かしらの恨み(逆恨みだとしても…)があるからだろうとしか考えられなかった自分。
何の遺恨も縁も無い人を殺してしまうってことが、戦争でもないのに起こりうるなんて考えもしなかったし、想像もできなかった。
そう、115人もの命を一瞬で奪ってしまった悪魔のような人間。
事情のわからない私には亡くなった方の数とたった一人の犯人とだけでそうとしか思えなかった。

当時、に何故か他国から他国へ飛んでいた飛行機、しかも他国の航空会社で他国産の旅客機が消息不明になったという事件が大きなニュースとなり…
何故日本であれだけ大騒ぎになっていたのかわからなくて、犯人が捕まって初めてどうやら北朝鮮の工作員が日本人を名乗って犯行を犯したらしいってことをニュースで聞いて初めて日本との関わりがちょっと理解できたけど…
だけどその時には「迷惑なっ!!」っていう感慨は持った。

迷惑!
本当にそう。。

時は流れ、あの事件のことも風化されつつあったけど、何かバタバタしている間に大騒ぎになったあの事件に対して、外国の話と思いながらも何か釈然としないものが子供心の隅に引っかかっていたんでしょうね。
ドラマを見てみようって気になりました。

あの事件の裏で、本当に名もなき…失礼な言い方をすると下っ端の外交官たちがあんなに頑張って、警察顔負けの推理とプロファイリング、そして実際に足を使った捜査をして犯人を追い詰めていっていたとは…
本当に彼らの行動力が無ければ…何か一つでもタイミングがズレていたら…今の日本の平和は無かったかもしれない。
見ていて本当にギリギリだったんだなぁって、今更ながらに恐くなりました。
もし彼らの捜査が一瞬でも止まっていたら…
もしあの工作員たちが一日早い飛行機に乗り込めていたら…
きっと取り逃がしていたことでしょうね。

なかなか判断を下さない「上」。
最後は現場の彼らが自分たちで判断し、工作員を取り押さえ。
その思い切りと判断力・行動力が無ければ…
それなのに、国は工作員を自国で取り調べることなく韓国にあっさりと受け渡し、それが外交と言われても、身柄拘束という大仕事をした彼らに対してあまりにも何ていうか、思いやりというか、報われないよね。
本来なら大手柄の彼ら。
日本という国を本当に守った彼らに対して、本省からねぎらいとお褒めのFAXが1通届いただけ。
本来ならもっと公に彼らの働きを伝えて、国の英雄としてそれなりの表彰などするべきだったのではないかしら?
日本ってそういうところが無いよね!
確かに彼らは外務省に所属する外交官ではあったかもしれないけど、この事件の捜査に関しては完璧に本来の職務から逸脱したものであったのは明らかなんだし…
まるで政府、もしくは外務省のトップが、自分たちの采配で犯人を捕まえられたんだと手柄を横取りしたんじゃないかとも思えるね。

本省から送られてきたFAX文を見て、犯人を最後に捕らえた砂川さんは「私はこんな紙切れ1枚のためにやってきたのではない」(ちょっと言葉が違うかもしれませんが…)というようなことを言われた。
もちろん、私が前述したような褒美が欲しかったわけではないでしょう。
この事件の裏で、何が行われていようとしたのか、何がどうなってこのような事件が起こったのか、ただそれが知りたかったんだと思います。
空港で犯人たちが、目を離した隙に毒を飲みましたが、その時に「こんなところで死なせるものか! これだけ日本という国を危機に追いやりながら、何も話さずに死ぬなんて許せない!」って思ったと言われていましたが、まさにこれが日本国民の声だったような気がします。
私もこのドラマを見ながらそう思いましたもん。
当時日本人はどこの国でも人畜無害みたいに思われていて、マークが緩かったので日本人を装ったのか、日本に遺恨があるので罪を日本に擦り付けようとしたのか、日韓両国の間に亀裂を生みたかったのか、まぁこの3つとも理由はあったのかもしれませんが、私たちからしてみれば、本当に迷惑を掛けられたって感じですよ。
それなのに何も語らず、明らかにせず、さっさと死ぬなんて許せない!
捜査に関わったというか、実際に犯人を追い詰めていった彼らなら、なおさら犯人から直接真実を聞き出したかったはず。
もちろん本来そういう職務にある人たちではないので、せめても日本できちんと真実を明らかにして欲しいって願っていたはずだと思う。
そう思えば無念だっただろうな…

結局、どこの省庁でも、まぁ民間の会社…特に今年多かった偽装をしていたような会社でも、いわゆる下っ端はまじめにコツコツと働いているのよね。
そういう人たちが報われない国って最低だと思う。
そういう面では、日本っていう国は先進国の中でも本当に最低ランクの国じゃないかな…
いや、先進国だけじゃなく、全世界的に見ても最低だと思う。
国益を救った人に対しての礼があまりにもなさすぎですね。
本当にこの3人の外交官にはいくら感謝を述べても言い尽くせないですよ。
私がこうやって今、大人になって平和に暮らせているのは、このお三方のおかげだと思います。

2年前の日本人は直接関わりのなかった飛行機爆破事件の裏にあれほどの危機が潜んでいたとは…
かの国の恐ろしさ、また世界の恐さを痛感しました。


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