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『ブラス!』を観たついでに映画『カストラート』も観た。
カストラートとは、昔、ヨーロッパでは教会で女性が歌うことを禁じられていた時代、少年たちに女声の変わりに歌わせていたのが今でもあるクワイヤーボーイズの始まりですが、その歴史の中で、まだ音楽が男性だけの物だった時に、声のきれいな少年を変声期を向かえる前に声変わりしないように去勢して、永遠のボーイソプラノを保つということが行われていて、その人たちがそう呼ばれていた。
今では人道的概念から禁止されているけど、かのベートーヴェンも少年の頃、美声の持ち主だったそうで、もう少しでカストラートにさせられるところだったそうだけど、ベートーヴェン父が強く反対したためにさせられずに済んだっていうことを聞いたことがあるけど…
私は女性なので全くその痛みや苦しみがどのようなものか想像もつかないのだけど、痛みを和らげるために阿片が用いられていたということは、かなり命がけで大変なことなんだろうなって言うのは感じる。
実際に命を落とした人もいると聞く。
国が違い、意味合いは違うけど、浅田次郎さんの『蒼穹の昴』で宦官になるための同じような処置の仕方を書かれていたのを読んだので、なんとなくね…
この映画では何かの液体に浸けられていたけど…
やっぱ身体によくない毒なんだろうね~。。
そういう思いをして手に入れた永遠のボーイソプラノ。
実際は子供のボーイソプラノとは分けられるそうだけど…
声変わりはしないけど、身体はちゃんと成長するため、少年の高い声に大人の肺活量が付いてくるわけで、それはもう素晴らしかったらしい…
彼らの声を聞いて失神する女性の観客もいたとか…
この映画はそのカストラートの歴史でも、一番有名なファリネッリと呼ばれた歌手カルロ・ブロスキという人の生涯という形で書かれているけど…
この人自体は人気者だったし、隠居した後も長い間多額の年金を受け取って晩年を過ごしているし、いい暮らしをしていたんではないかと思う。
ただ、やっぱりホルモンバランスが崩れるので、精神的に不安定だったってことはあったのかもしれませんけどね…
それよりはやっぱりそこまでしてカストラートになっても日の目を見れなかった人は悲惨だったようです。
後、時代の流れでだんだん女性歌手も認められるようになってきて、カストラートに居場所がなくなってきた時のカストラートの話をテレビで観たのだったか忘れたけど聞いたことがありますが、本当に子供の頃、自分の意思とは関係なくされていることなので、気の毒としか言いようがないって感じです。
最後のカストラートの話だったかなぁ?
そういえば20世紀初頭のことだったので、その録音が残っているそうで、その声をちょっと聴きました。
カウントテナーともボーイソプラノとも女声とも違う独特な声だったのをちょっと記憶していますが…
そういった全てのカストラートの哀愁がこもったような映画でした。
成功していてもいつも何かに飢えている…
実際にファリネッリがそうだったのか、そうでなかったのか、自分の人生に満足できていたのか、そうでなかったのかは知る由もないですが、そうだったのかなぁ~とも思います。
このように音楽史にも残酷な史実があります。
華やかに見えて、偉大に見えて、格式高く見えるクラシック音楽の影に…
あの音楽の母と呼ばれたヘンデルの影にもこういったカストラートがいて、その人たちのために書かれた歌曲がたくさんあります。
モーツァルトだってカストラートのために書いています。
それをひっくるめて音楽なんだ!なんて、人権を重んじる教育を受けてきた私には言い切れません。
なんとも苦い音楽史の1ページでした。
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